出会いは2000年の間もなく夏を迎える頃、制服姿で事務所のマネージャーに連れられて現れた彼女は、スカートの丈が短いわけでもなく、髪も染めておらず、おかっぱの下から大きな瞳で瞬きもせずにこちらを見つめていた。
「人見知りなんですよ(笑)」とマネージャーが言うとおり、口をきかずにじーつと目を外さずに見つめる姿は、バリアを張っているようで近づき難いものを感じさせた。しかし。当時、男性誌のグラビアを担当していた俺にとって制服の下の放漫な肉体はスターになるには十分なほど実っていた。
「記念に写真撮ろうか」 デビュー前のアイドルのお宝写真。インスタント写真の中で、ピースをする彼女の笑顔は今も色あせてはいない。
グラビア撮影が行われたのは、それから数カ月たってからだった。まずは中学を卒業すること。高校入学をすることが、グラビア掲載の条件になっていた。すでに、かなりやんちゃをやっていることは、芸能界&マスコミには知れ渡っていたのだ。ところが、撮影当日、彼女は1時間の遅刻をした。カメラマン、ヘアメイク、スタイリスト、我々スタッフが待ちぼうけで所在なくしていると、制服姿の彼女が脱兎のごとくスタジオに駆け込んできた。寝不足で腫れ上がった顔。お互いの顔を見合い、やれやれと仕事に就く全スタッフ。スタジオの一番後ろの壁に背を付けて準備を待っているあ俺の隣に彼女がやって来た。
「ごめんなさい。彼氏が行くなって離してくれなくてさ」
まぁ、グラビアアイドルの撮影前には、よくあること。愛情を独占したいからとごねる子供の戯言だ。
「おいおい、しょうがねえなぁ、高校生の言うせりふじゃないぞ」 と笑うと、
「怒らないんですかぁ...」 と俺の顔を覗き込む。
「しょうがないだろう。高校生は、青春真っ盛りなんだからょ、美奈子ちゃん」
「へへへっ、ミーでいいよ。tabaさんみたいに不良っぽい人、あたし好きだよ」
それから、彼女の呼び名は、「ミー」。 10年以上に渡る付き合いの始まりだった。
つづく













