女性自身

乳がん治療日記の最近のブログ記事

乳がんを早期発見し2度に渡って摘出手術を受けたことを、2007年6月に公表した山田邦子さん。手術から放射線治療までの経緯を、インタビューと本人の日記で紹介します。 (2007年6月~9月まで、女性自身で掲載)
火曜日
Bc_diary006
撮影・大村洋介

薬を飲み始めてからもう1週間以上。
毎日きちんと時間を守って、夕方に飲んでいます。薬を飲み慣れないので、まだ緊張しちゃって(笑)。でもホルモン剤の副作用も今のところ何もなくて順調です。  気になっていためまいも治ったし、胸のほうもあとひと息という感じ。薬を塗ってから治りが早くて、胸のまだら模様も垢がとれるようにボロボロ落ちてどんどんきれいに。まだ胸を張って人にお見せできる程じゃないけど(笑)。  そしてついに先週は伊豆で泳ぎました! 日焼け禁止なので長袖のTシャツを水着の上に着て。主人と一緒にガボガボ泳いで、イカも捕って。やっと夏に間に合ったという感じでうれしかった! 

 振り返ってみれば、最初は「乳がんです」と言われたショックよりも「よし、何とかしよう、頑張るぞ」という前向きな気持ちのほうが強かったんです。でもだんだん体力が回復するに連れ、かえっていろいろと不安になってくるものなんですね。術後に張り切りすぎて過労で倒れたときも「あっ、私はがんだったんだ」と思い知らされたし。自分の体を過信しないで大切にしなくちゃいけないんだなと、つくづく思いました。
 私は乳がんを手術でとったけど、今後も再発の可能性はあるわけです。だからこれから検診を受けようという方と立場は一緒。私は乳がんになりやすいということがわかったのだから、今後も毎年マンモグラフィーの検査を受けていきます。やはり大変な病気だったのですから。

 入院中や放射線治療を受けているときは必死だったけど、いざ治療が一段落したらあれこれ考えるようになりました。先日、病院の意見箱に投書したのもそのひとつ。もちろん病院の先生やスタッフの方々が一生懸命治療してくださっているのは十分わかっています。ただ大病院だから仕方ないと思いながらも、ときどき患者と病院スタッフとの温度差を感じることがあったのです。   
例えば主治医は1人と決まっているけど、看護士さんやスタッフの方は何人も替わるわけです。患者はそのたびに傷口を見せたりすることになり「私はいったい何人に見せるんだ」と86人まで数えたけど、その先は止めました(笑)。これだけの人数の方に入れ替わり立ち替わり、傷口を診てもらわないと治らないのかしら。でもそんなことを言うのも良くないなあと思ったら、スタッフの方に「病院への意見は何でも意見箱に入れてください」と言われました。
思い切って今まで感じたことをいろいろ書いて入れたところ、病院の統括マネージャーの方から丁重なお返事をいただききました。医療スタッフがきちんと治療してくださるのはわかった上で、今後もやはり意見は意見としてきちんと伝えていこうと思っています。入院経験のある友人や知人に聞いても「そうなのよ。でも私たちは言いにくいから邦ちゃんが代表して言って」とみな口をそろえて言います。やはり私と同じようなことを思う人は多いんですね。ですから自分のワガママではなくて、前向きな意見は今後も伝えていこうと思っています。

 主人も最近すごく元気になってきました。最初は主人もどうすれば良いのかと思い悩んで具合が悪くなってしまって。でも先生の話を一緒に聞いてくれているのがすごくよかった。私の具合が悪くてご飯を作れない時もちゃんと理解してくれて「きょう、晩御飯はどう?」「調子悪かったら、外で食べようか」とメールをくれるし。前以上に優しくなりましたね。

 自分がこうなって驚いたことは、周囲に同じ病気をした人がたくさんいたこと。経験した人の話はとても参考になったし、有り難かったです。

 そして読者の方からもたくさんのお手紙やメールをいただき、大変励みになりました。本やお守りを送ってくださった方もいらっしゃいました。ありがとうございます。この場を借りて御礼を申し上げます。その中から一部をご紹介したいと思います。
        ★     ★      ★
●「邦ちゃんのおかげで私も乳がんを発見できました。女性自身を読んで、私もお風呂上がりに触ってみたら、コリっとしたものがあって…。翌日すぐに病院で検査を受けたら早期発見できました。8月に手術を受けて、これから放射線治療が始まります。邦ちゃんを見習って私も頑張ります。邦ちゃんは私の命の恩人。ありがとう!」(群馬県/S・Kさん・49歳・主婦)

 命の恩人だなんて。でも私も嬉しいです。見つかって良かったですねえ。これからもがんばってください。

●「邦子さんがこの連載を始めたころ、ちょうど私も左乳房の温存手術を受けました。今、放射線治療を始めたばかり。とても参考になるので毎週読みながら励まされています。私も胸がチクチクするし、赤く日焼けしたような感じ。本当に元通りになるのかととても心配。再発や不安なことも多いけど、邦子さんを見習って前向きに治療をしていこうを思っています」(東京都/M・Yさん・42歳・公務員)

大丈夫、治療が終われば絶対に胸のただれは取れます。お風呂でゴシゴシ洗ってはだめだけど、ちゃんと石鹸つけててのひらでぐるぐると洗って。シャワーをかけて清潔にしてください。

●「私も昨年、乳がんの手術で右胸を全滴しました。治るなら乳房なんて無くなっても良いと思ったけど、やはり女性としてコンプレックスを感じます。ブラもあたると痛かったり、両方の胸を同じようにするのが大変です。もっと良い下着があるといいのに……。でもテレビで元気な邦ちゃんを見ると私も頑張らないと、と励まされています」(埼玉県/T・Rさん・39歳・主婦)
 
 下着の少しの縫い目もあたると痛いんですよね。でも今は乳がん用の柔らかなレースを使った下着などもあります。私も最近いろいろとお店を見て歩いて知りました。
「ブラがもうつけられない」と思わずに「乳がんになっても、こんなに可愛い下着があるんだ」という方向に考えたほうが良いと思います。やっぱり女性はお洒落をするほうが元気になれるから!

●「先月、左胸の全滴手術を受けました。リンパも取ったので腕もあがりません。不安で泣いてばかりいます。相談できるお友達がたくさんいる邦子さんが本当に羨ましい。私の周りには同じ病気の人がいないので、相談相手がいません。邦子さんの日記にいつも励まされています」(山形県/H・Tさん・45歳・主婦)

誰にも相談できないのは可哀想。不安ですよね。でも、自分がちょっとおかしいなと思ったら、先生によく相談するといいと思う。皆さん、いろいろな先生と向き合っていると思うけど、先生の顔を見ただけで元気になるような信頼関係を作っていくことが大切です。そしてくよくよしないこと。先生に遠慮しないで、いろいろ相談してみましょう。

●「乳がん告知から3カ月。いよいよ手術を受けることになりました。手術の後は抗がん剤の治療が待っています。とても怖いけど、私も邦ちゃんのように頑張ります」(埼玉県/F・Eさん・41歳・主婦)
 
 この方は私より若いんですね。でも私の周りにも抗がん剤治療を受けて治った人がたくさんいます。だから、大丈夫。一緒にがんばりましょう!
(*手紙は抜粋して紹介しました)
            ★    ★    ★
 この病気をしてから今までいろいろな方たちのお世話になりました。今度は私がみんなのために活動をしていかなければと思います。10月は『ピンクリボン運動』のパネルディスカッションや、トークショー、チャリティなどさまざまな催しがあります。私もピンクリボンの仲間になったわけですから、出来る限り協力していきたいと思っています。
 私もこれから5年、8年とホルモン剤の治療を受けていきます。まだ治療が終わったわけではないので、気を引き締めていかなくては!
 今まで読んでいただいてありがとうございました。また機会があれば、経過をご報告したいと思います。






 

火曜日
Bc_diary006
撮影・大村洋介

2ヶ月ぶりに主治医の診察を受け、とうとうホルモン剤を飲み始めました。また検査があると思っていたので、私も主人も「さあ検査だ!」と覚悟して病院へ。でもすんなり処方箋が出ました。 『ノルバデックスD』という薬を毎日1回1錠ずつ飲むことになります。これは乳がんの非常にポピュラーな治療薬。女性ホルモンを抑える薬なので、人によっては、月経不順や月経異常、頭痛、吐き気、食欲不振、動悸、息切れなど、更年期障害のような症状が出るそうです。いただいた薬の説明を書いた小冊子を読んでみると、「婦人科系の検診をすることが重要です」と書いてありました。つまりこの薬を飲むことで、今後は子宮がんなどの検診も受けたほうがいい、ということ。 乳がんを手術で取り、放射線治療もしたんだから、もういいじゃないかと思うけど、これを飲んだほうが再発の数がかなり減るそうなので、再発防止のためにも飲むことになっているようです。 服用する期間は5年間ぐらいが一般的で、とにかく忘れないように毎日飲むことが大切。もし忘れても慌てて翌日に2錠飲むのは絶対禁止です。とにかく量を守ることが必須なので、毎日飲む時間を自分のペースで決めて飲むこと。ただ体調が悪くなったりすることもあるらしいので、先生には夜に飲むことを勧められました。食前食後は関係ないそうです。先生は「あまりシビアに考えないで、飲み忘れた場合は、時間をずらしてもいいので、とにかく1日1回飲んでください」と。朝飲んでもし体調が悪くなると仕事ができなくなるので、夜飲むようにしています。 初めて飲んだときは少し緊張しましたね。「いよいよこれから5年間、薬を飲み続ける生活がスタートするんだなあ」と胸にズシッときました。  先生に「汗が出たり、ほてることもあります」と聞いていたから、飲んだ瞬間からドーッと汗が出た(笑)。先生から聞いたそのままになるんだから、私って本当に単純だなあ(笑)  同じ病気をした友人も同じ薬を毎日5年間飲んだそうです。忘れるといけないから1錠ずつに日付けを書くと良いと聞き、これは良いアイデアなので早速私も書くことにしました。

水曜日

実は、放射線治療を初めてからずっと鼻が詰まっているのが気になります。ときどきめまいもするし、頭もグラグラするの。  「乳がんとは関係ない症状」という主治医の判断で、来週、耳鼻科にかかることになりました。原因がわかれば安心なので、がっつり専門医で検査してきます!

 
金曜日

やっとうつ伏せでゴロゴロできるようになったので、エステでマッサージを90分受けました! ずっとうつ伏せにならないよう気をつけて寝ていたので、肩や腕などがものすごく凝っていたそうです。  揉んでもらったら詰まっていたリンパがズーと流れたみたいで、血行が良くなり過ぎたのか、終わったあとはしばらく立てなくなっちゃって。こんなことは初めて。でも気持ち良かったっ!

月曜日

先日、友人が同じ病気で同じ病院で手術をしたので、お見舞いに行きました。  当然ながら、とても不安そうに、ブラジャーのこと、手術後の胸の変化などいろいろ質問されました。私も3ヶ月前はこんなだったなあ……。

火曜日

来月10月は、以前にも書いた乳がんの早期発見、早期治療の大切さを伝える『ピンクリボン運動』の強化月間です。私がデザインしたTシャツの展示や、トークショーもあるんですよ。   今月の終わりぐらいから、『ピンクリボン運動』のイベントに参加していきます。きっと仲間も増えると思うので、それも楽しみにしています。

 

日曜日

仕事先で倒れてしまいました……。
生まれて初めて仕事をキャンセルすることになって、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。  その日は地方でイベントの仕事。連日の暑さに、どうも調子が悪いなあとは思っていたけど、ファンの方に囲まれてワイワイしているときは気がつかなくて。でも休憩になったら頭がクラ~っ。「あ、これ倒れるな」と思った途端にバタンッ。  地元の救急病院に運ばれましたが、「もし乳がんに関連していたら、どうしよう」と焦って東京の主治医に電話。休日なので救急担当の先生が対応してくださって、「そちらの病院に、乳がんで放射線治療を終えたところだときちんと伝えてください。それに合った薬を選んでくれます」と言われました。  救急病院で1時間半ぐらい点滴を打ってもらいましたが、回復しません。ついに翌日の仕事をキャンセルして自宅に戻りました。すぐに寝たけど、どんどん具合が悪くなるばかり。とにかく頭がカチ割れそうなぐらい痛くて「もし、くも膜下出血だったらどうしよう」と、悪いほうへばっかり考えて。ところが奇跡的に翌朝は元気になりました。クーラーを切って自然の風で寝たのが良かったみたい。  後で医師に聞いたら、どうやら熱中症だったようです。今年は健康な人も具合が悪くなるくらいの猛暑。だから私はもっと注意しないといけないのに、放射線治療が終わったのが嬉しくて張り切りすぎてしまった……反省。

火曜日

今日は放射線の医師の再診日。
とうとう「すべて終了」と言われました! 次の診察は来年2月。半年後だなんて忘れちゃいそう(笑)。  胸の皮膚のガサガサはポロポロ取れてきましたが、まだ赤茶と黒と肌色が混ざったような、まだら模様。放射線を当てた部分は毛穴が死んで汗が出ないので、乾燥してピリピリ痒い。今日から胸に塗る保湿剤が出ました。今までは消炎剤でしたが、保湿剤って何だかビューティな方向なので、女性として嬉しい響き。  そして先生がニヤッと笑って、「いいですよ、泳いで」と言ってくれました。ヤッターッ! 温泉もプールも海も全部OK、素晴らしい!   私は海が大好きなので、一度も泳がない夏なんて今までの人生であり得ないこと。これで奧にしまったままの水着もやっと出せます。でも日焼けだけは絶対禁止。
屋内プールに行くか、海なら長袖かウエットスーツを着ないと。

水曜日

手術のあと困ったのはブラジャーが出来ないこと。
ガッチリしたワイヤーのカップだと、胸が変な形によれちゃうんです。  私は洋裁も大好きなので、よし、邦子のお洒落工房で、手作りしよう!と思っていたら、すごく良い物を発見! カップ付きの、キャミソールやタンクトップ型のインナーです。  アンダーバストが締め付けられないし、カップもソフトなので、着けてもとても楽。おまけに体のラインもきれいに出るし、機能的で動きやすく、洋服へのダメージもない。綿や絹など素材もいろいろあるので汗をよく吸い取るし、もーいいことだらけ。手術後はずっと愛用しています。  以前は「こんなシャツみたいな下着、誰が買うの?」と思ってたけど、そう、私のような人が買うんですね。今はもう釘付けです。着ていて肩が凝らないし、なんだか背中の肉も少し取れたみたい。  今まではブラジャーの新製品はすぐ試してみたし、“私は、胸を寄せて集めて上げる天才だ!”と思っていたわけ(笑)。なのに今は「ブラジャー、何それ?」という感じなのだから、人間変われば変わるもんです。

金曜日

放射線治療が終了したので、いよいよ来週は久々に主治医の再診を受けることになりました。今後どんな検査や治療が待っているのか。次回に結果を報告しますね。

 

水曜日
Bc_diary006
撮影・水野竜也

ついに放射線治療が終わりましたっ!
「長くかかりましたが、とうとう終了しましたね」と医師に言われましたが、思ったより早かったなというのが率直な感想です。
最初は「30回も続けて通うのか……」とユーウツでしたが、途中で量を増やしたので27回になり、終わってみればあっと言う間。
最後の最後で風邪を引いたりしたら大変なので、最近はとにかく無事に終わらせることばかりを考えて。でも主人が最後の3回は全部送り迎えしてくれたので本当に助かりました。
お風呂で長湯はまだダメだけど、早速ぬるいお湯に10分間ぐらい入りましたっ。もうサッパリ、スッキリ! 

金曜日

治療の跡は、まだ爛れて赤茶色。海で日焼けした後で皮がボロボロ剥けて悲惨な状態になるでしょう? あんな感じです。
皮膚が薄いカサブタのようになってピロロロ~ンとめくれたり、ベリっと剥がれたり。でもめくれた跡は、赤ちゃんのように薄いピンク色のきれいな肌。
「大丈夫、それでいいんです」と医師に言われているので、あとは、"脱皮"を待つばかり。でも何とも痒い。
次回の診察で医師のOKが出れば、海や温泉にも行けるんだけど、日焼けは向こう3ヵ月間は絶対禁止。もし海水浴をするにしても「長袖を着たままで泳ぎなさい」と言われちゃいました……(>_<)。

 
火曜日

人間って、たった1週間でこんなに変わるものなんですねっ。めきめき元気になってます。もうめまいも、吐き気もしないし、もりもりご飯が食べられる。
思い起こせば8月始め頃は気持が悪くてフラフラして、すべてを悪い方向に結びつけたりしていたけど……。そんな自分が嘘のように、蘇りました!
今やお風呂で自分の胸を見て「あっ、そうだった」って気づくくらいなのだから、現金なもんです(^O^)。毎日お風呂の鏡の前で万歳して、しげしげと皮膚の状態を確認していますが、日に日に変化してくるのが嬉しい。
それに一時は、もうお酒は一生飲めないんじゃないかと思ったけど、着実に以前の大酒飲みに戻りつつあります! 主人も、友人たちも「このまま飲めなくなったほうがいいのに」ってガッカリしているようですけど(笑)

木曜日

夏休みで北海道の主人の実家に帰省中。
今日はとても嬉しいことがありました。帯広から中標津に移動する途中の高原で、突然見知らぬ女性に「山田さん、有り難うございました」って握手を求められたんです。その方のお嬢さんが、私のことを知って触診したら、乳ガンが早期発見でできたそうです。本当に良かった!
でもそこは牛がポツンポツンといるだけの、何もないところ。こんな偶然な出逢いがあるなんて、何だかとても不思議です。「その後の経過に興味があるので毎週、女性自身を読んでいます」と言われて、より嬉しくなりました!

金曜日

来週あたりに放射線の医師に最終的な皮膚の状態を診てもらってから、久しぶりに主治医の先生にお会いすることになっています。治療で撃沈できたかどうかの検査を受けるために。
その結果で今度はホルモン剤の治療がスタートします。私のように閉経前の人は、ホルモンのバランスが崩れることもあるので、様子を見ながらやっていくみたい。今後は自分でどういう山を越えていくのかな。また一喜一憂の日々が始まりそうです。
でも最近ますますやる気満々。今までは"まあまあ楽しければいい"、"幸せだからいい"って、のんびりしたものだったけど、ちゃんと元気で働けるのは素晴らしいと思うようになりました。「もっと頑張って働こう」「いろいろな経験させてもらうのは有り難いこと。もっと踏み込んで勉強しよう」と、ことさらしつこい性格になってきたみたい(笑)。
とにかくいろいろなものが素敵に見えるの。だから、「あらっ、あの人素敵!」なんてときめいて浮気したらまずいなあ。アハハッ、そんなくだらないことも考えるくらい、元気になりました!

 

火曜日
Bc_diary005
撮影・大村洋介

治療は、とうとう残りあと5回になりました。でも放射線を増量してからは「胸がジリジリ焦げてる」という感じ。腋の下から胸部全部が、真っ赤にただれてきて、ついに塗り薬が出ました。夜中に知らずにボリボリ掻いちゃって「あっ、いけない」と飛び起きて胸をこすったりして。だからちょっと寝不足です。
治療が終わればただれも治るそうなので薬を塗って待つしかないけど、いよいよ佳境に入ってきたなという感じ。

水曜日

いつも放射線治療の待合室には順番を待つ方たちでいっぱい。中にはお年寄りや、まだ小さな子供、車椅子に乗った方もいらして……。
本当に「お先にどうぞ」と言いたくなる。それに「ああ、皆一緒なんだ」と思うと優しくなれるよね。

 
木曜日

最近、何か他の病気になっているような気がして、ちょっぴり心配。
放射線の先生は「副作用の症状ではない」とはっきりおっしゃるけど、吐き気がなかなか止まらないし、鼻風邪を引きっぱなし。胃腸は元気なので食欲もあるし、よく眠れるし、仕事もできる。でもときどき急にムワーと吐き気がするの。私はいままであまりにも健康だったので、吐き気なんてほとんど経験がなかったのに。
手術と、術後の治療によって体の中に何か変化が起きたような気がする。でも夏バテもあるのかな……。

金曜日

大変! イベントの仕事でステージ衣装を早替えしたら、胸の中身がよれて形が少し変わっちゃいました。
手術で胸の中をえぐって取っているから、周りの脂肪を集めて形成し直してくださっているわけね。そこいら中の脂肪を集めて穴ぼこに埋めているから、まだ落ち着いていないんだと思うの。そこを衣装のドレスでギュッと押さえたので、凸凹の偏った胸になっちゃいました。でも平らに戻るように必死で擦ったりしているうちに、何とか元に戻りたので、ホッ。

土曜日

今日はとても嬉しいことがありました!
乳がんの早期発見と早期治療を進めていく『ピンクリボン*』活動のシンボルである、ピンクのリボンを象った小さなバッチが私に送られてきたの。これは乳ガンを克服した人から、闘病中の人へとバトンのように譲られてきたもの。5年前に乳がんを患って治った倍賞千恵子さんから、音楽家の吉岡しげ美さんへと渡され、元気になった吉岡さんが今度は私に送ってくれました。

倍賞さんのリボンが巡り巡って私のところに届いたと思うとますます嬉しい。私が病気になっていちばん最初に相談をしたのが倍賞さんでした。いつもいつも私を励ましてくれる倍賞さんのリボンが私に回ってきたなんて! 感激です。おふたりとも仕事と治療を両立してやっていらした。私ももうちょっとだから、へこたれないでいかなくちゃあ。
それに私にとってリボンは永遠のテーマ。小さい頃からリボンが大好きで、以前『やまだかつてないWINK』というグループを組んで『さよならだけどさよならじゃない』という曲を出したときも♪リボンでむすぼう、ハート♪という歌詞を書いたくらいです。

2000年の結婚式では、ファンの方や、スタッフ、友人、親戚、いろいろな人に白いレースのリボンを結んでもらって、2000個のリボンがついたウェディングドレスを来たんです。だから私にとってリボンは特別な思いのあるアイテムであり、トレードマーク。
今またこうしてリボンとの関係が生まれるなんて、何かとても運命的なものを感じます。ひとつの小さなリボンが、私の大きな励みになる。そして今度は私から、応援したい次の人に渡していく。リボンのバトンをつないでいくのは素晴らしいことだと思います。

*『ピンクリボン』は、乳がんの早期発見・早期治療の大切さを伝える世界規模キャンペーン。1980年代にアメリカで始まり、草の根的な活動で世界中に広がった。

 

月曜日
Bc_diary004
撮影・水野竜也

毎日の暑さのせいで、ちょっと夏バテ気味。体調はいいんだけど、風邪をひきやすくなったなぁ。でもお医者さまは「全然関係ありません。自分のペースを作りましょう」と言うの。焦らずにのんびり構えてくださいということでしょうね。夏だからクーラーで、ちょっとガクッときたんだろうけど、弱っているのは確かみたい。
胸は赤くなったまま。毎年、夏は水着の跡だけ白いのに、今年は逆に胸の所だけ赤い。「あっ、この人胸だして浜辺で寝たな」(笑)って感じで、胸だけ日焼けしたようにヒリヒリして痛痒い。でも取り立てて胸がカッカ熱いわけじゃないけれど、動物園の白クマみたいに氷に抱きついたら気持ち良さそう。
放射線の量が増えたことでの緊張感もあるんだろうけど、ちょっと体調が悪いと途端に根気がなくなる。買い物も遅くて、今まで食料品もパパッと買っていたんだけど、ダラ~としてなかなか決まらない。何度も「あれっ、何だったっけなあ」と戻ったり。もしかして更年期障害もあるのかな……。

火曜日

今日、着替えるときにハンガーで胸を突きそうになって慌てました。胸をぶつけたり、転んだりしてはいけないから、外でも気をつけています。特に人ごみの中ではいつ人がぶつかってきても手でよけられるような構えを必ずして、胸をガードしています。
だって、いまはうつぶせになってもいけないの。早くうつぶせで寝たい! 今の夢は、エステでうつぶせになって思い切り体を揉んでもらって、お風呂で体をゴシゴシ洗って、プールでクロールとバタフライを泳ぐこと! そうしたらもう最高ですね。

 
水曜日

最近は大好きなスイカに助けられています。多分、気持ちの問題なんだけど、ときどき食事をしていてグエーと気持ち悪くなるときがあるの。でもスイカなら、幾ら食べても全然平気。だからそんなときは、ガムとスイカと、プッチョ(グミ入りのお菓子)、好きな物だけを食べるようにしています。
でも食欲はあるの。どうせなら体に良いもののほうがいいので、市場で新鮮な野菜や果物を買ってきたり。沖縄の友人が送ってくれたゴーヤをジューサーでウィーンとやって、苦~いジュースを毎日生でゴクゴクッ!

金曜日

右胸は治療を始めたときはカチカチだったのに、最近はぷにゃぷにゃに軟らかくなって元に戻ったという感じ。ところが今日の朝、左の胸を触ったらプツッときた。「え? これってしこり?」。右のほうは何もないのに、左は縫ったあたりに米粒大のプチプチしたのが5,6個あるの。
実は今日『手術が成功して良かった思っていたら、傷口のところに米粒大のしこりがあって再発しました』という記事を読んだばかり……。来週医師に会ったら聞いてみないと。
でもこれはきっとノイローゼですよね。前も書いたけど、最近の私はちょっと具合が悪いと何でもがんに結びつけている。鼻水が出ても、熱が出ても、鼻が痒くても、目やにが多くても、ちょっと食欲がなくても、何でも結びつける自分がどこかにいる。そこまで敏感になっていたら生活できないので、もっと大らかにしないと……。

日曜日

読者の方たちから頂いたお手紙やメールを読みました! 私と全く同じ時期に、同じ病気にかかった同世代の方もいらして「あっ、私と一緒」と同じ気持ちになれるし、心強い。
そうした人たちが元気にしていると、余計に私も嬉しい。「一緒に頑張ろう!」という気になれます。ありがとうございました!

 


月曜日

Bc_diary003
撮影・大村洋介

放射線治療もいよいよ佳境に入って来たなという感じです。

実は今週から放射線の量を増やすことになりました。目に見えないがん細胞を攻撃するには間隔をあけずに続けて当てることが大切なので、今までは土日以外の週5回病院に通っていました。

全部で30回の予定で。15回の今日まで順調でしたが、今週はどうしても仕事の関係で1回休まないとダメ。

おまけに祭日の休診日があるから、今週は3回しかできなくなります。

それで医師と相談の結果、放射線の量を25%増やすことに。

ちょっと心配だけど、遠方から通う人や、いろいろな事情で続けて通えない人は、量を少し増やして早く終わらせることもあるそうです……。



火曜日


やっぱり25%増というのは、量がすごいんだなということがわかった。

途端に胸がみるみる赤くただれてきた。まあ治療も後半に入って、皮膚もいよいよ傷んできたというのもあるだろうし、増量で急激に赤くなったわけではないと思うけど、増やしたその日からなのでビックリです。

腋の下から両胸にかけてガサッと、まるで2枚の下敷きをベタッと貼ったように赤くなっちゃって……。


私って精神的に気になるタイプなのかな。今まで治療中は何も感じなかったけど、量を25%増やした日は何かグワッときたなという感じ。

終わって会計のときに階段を1階上がっただけでもうクラクラ。あっという間に汗が出てきて、クシャミと鼻水が止まらなくなった。

帰ってからも胸が痒いし、かなり痛い。ビキビキ!ズキ!みたいな感じで、腋もすごくあっつ~いっ。

でもまだ保冷剤で冷やすほどじゃないので、大丈夫!



 

木曜日


今日は友人たちが早々と快気祝いを開いてくれました。でも『怪奇祝い』って書いてあったけど(笑)。

お酒もほどほどなら飲んで良いし、何を食べても良いと医師に言われているけど、まったく飲めなくなりました。

食欲はあるんだけどねぇ。前はワインをボトルで頼んでいたのに、今は「白ワインをグラスでください」だもの、カワイイっ(笑)。

私は大酒飲みだから、酒盛りができた日が本当の意味で全快なんでしょうね。



土曜日


最近なんだか、寝起きが悪い。今まで寝起きも、寝付きもメチャメチャ良かったのに、夜中に1回ぐらい起きるし、朝も「しょうがない、じゃあ起きるか」という感じで目覚ましをかけています。これもたぶん治療の影響でしょうね。

同じ経験をした友達が「放射線治療をやるうちに段々調子が悪くなる」と言ってたけど、本当にその通りだあ。

それに最近、前よりだるい。胸がときどき痛くなるんだけど「イテテッ」とくると急にダラ~とやる気がなくなる。

風邪で熱が出る前の、体中に熱が溜まっているようなドヨーンとした感じ。まあでもその割には元気なので、仕事のときはシャキっとしているけど、休みになるとすぐ眠くなる。

でも「治療が終われば嘘のように元気になる」と医師も友人も言うので、今はしょうがないと思っています。

それに量を増やしたお陰で良いこともある。本来だったら残りあと16回のはずが、12回になった。やっぱり速く終わるというのはうれしい!



日曜日


手術直後は胸の形は前とほとんど変わらないと思ってたけど、よく見るとやっぱりまっさらじゃない。

左右の乳頭の位置が1㎝くらい違う。左は下を切ったから少し下がってるし、反対に右は上を切ったので少し上がってる。

まあさほど気にならない範囲なんだけど、やっぱり元の胸ではないのよね。

後から整形手術をする方も多いらしいから、私もそのうち考えようかな。

「たったそれだけなのに?」と思われるかもしれないけど、何たって、私の愛しのオッパイだから(笑)。





 

土曜日

今日はすごく嬉しい日!
3ヶ月以上も休んでいた三味線のお稽古に行ってきましたっ。始めてから5年間、家でもずっとお稽古をかかさなかったので、こんなに休んだのは初めて。三味線は、バチでただピランピランて弾くだけじゃなくて、ひっかけてひっくり返して叩いてと、いろいろな技法があるんです。最初は手がおろそかになっていたけど、ありがたいことに先生が3時間もつきあってくださって。二人きりで黙々と弾き続けるうちに、最後のころは手が回るようになってきて、"ああ元に戻ってきたなあっ"ていう感じ。うれしかった。
でも、やっぱり少し疲れました。なんとなく右の腋の下のところが、ジーンと痺れてくる感じ。正座して左手で三味線を抱え、右手でバチを叩く。その姿勢をキープすることがとても腋にきついことだと、初めて気づいたの。今までは思ってもみなかったけど、やはりちょっと無理な姿勢なんでしょうね。左側はもう平気っぽいけど、右側はちょっとおかしい。右胸は2度手術をしているので、そうした違いはこういうところに出るんだなあと思った。絶対に無理は禁物だけど、これもリハビリになればと思うと、お稽古を再開できて本当に嬉しい。

火曜日

病院にはタクシーも使わずになるべく歩いて行くように心がけています。
でも家から歩くと2時間くらいかかります!。そして途中の銀座は私にとって誘惑の街。だから毎日のように銀座松屋に入り浸りで、バッグや靴やお洋服など、いかん、いかんと思いながらショッピング(笑)。
でもそれも今までの人生になかったこと。二十歳からずっと仕事をしていて、銀ブラなんて学生時代以来なので30年ぶりに近い。すごく楽しい。それに歩くとダイエット効果もあるので2キロ痩せ。これぞ災い転じて福となす!
買い物をするからちょっぴり高く付くけど……。

水曜日

治療を始めてから胸の中がときどきチクン、ズキンと疼く感じがするけど、今週あたりからそれに加えて、胸が熱くて少し痛痒い感じ。掻きたいけど、医師に掻いてはダメと言われているので我慢しています。試しにお腹や、太もものあたりを触ってみてもヒンヤリ。でも胸だけはカーッと熱いときがあるの。
不思議だけどやはりこれは放射線治療をしているからでしょうね。
医師に色々なケースを聞いたら、ほとんどの場合、胸をさすったりして、褒めそやすというか(笑)、なんとなくごまかして済んでるみたい。それに毎日、病院で医師が問診してくれるのでとても安心感があります。
中には氷で冷やしたりする方もいるそうですが、私はぜんぜん平気。

木曜日

私は単純なのか暗示にかかりやすいのか。
「皆さん眠くなりますよ」と医師に言われてから、とにかく眠い。今日も治療台の上に乗った瞬間にもう寝てるの。たった5分の治療なのに熟睡。自分でも呆れるくらい。仕事中に寝ることは絶対ないけど、とにかくすぐ眠くなる。やはり疲れているのかなあ。
スケジュールがきつかった翌日は車の運転を控えたり、気をつけるようにしています。

金曜日

病院で「楽しい週末をお過ごしくださいね」と言われると嬉しくなっちゃって。ああ、やれやれ今週も終わったかって感じ。
今日は本当に久しぶりにお風呂に入りました。あまり温めないほうが良いと言われているので、いつもはシャワーだけなんです。長湯はダメなのでぬるい湯船に3分間くらい入ってみたら気持ちよかった。
やっぱり、私はお風呂が大好きなんだなあ。早く治療を終えて長湯したいです。

 

月曜日

いよいよ今日から放射線治療がスタート。
私は胸を出して仰向けになるだけ。まったく熱くもないし何も感じない。胸に青い油性ペンで描いた○や★、点などの印に放射線がピッタリくるように移動しながら当ててくれるんだけど、全部で5分くらい。
「終わりました」と言われて“え、もう!?”ってカクッ。まるで何もしてないみたい。
これから30回、土日を除いた毎日決まった時間に病院に行くことになる。仕事中でも何でも毎日ピシャッと行かないと。

火曜日

「昨日はどうでした」と医師が問診をしてくれました。
「鼻声で風邪のような症状が出ましたが…」と伝えると、「まだ早い」と(笑)。
「1日目からそういう症状は出ないから、多分風邪でしょう」と言われてホッとした。

水曜日

鼻声は治ったので、やはり風邪だったみたい。実は明け方に咳が出たのでちょっぴり不安に。医師から「放射線治療で、肺ガンになる可能性もあります」と言われてたから。このことで、私は非常に元気で前向きなつもりだけど、やはり心のどこかで引っかかっているということがハッキリわかった。
何でもガンに結びつけて、咳が出たときに「肺ガンになったのかな」と思ってしまった。でも先生が「肺ガンになる可能性があるのは、放射線治療が終わってからのことです」と仰ったので、またまた気分サッパリ。そう言われたら咳も止まった、現金なもんです。
全部をガンと結びつけるのは、私の中にジレンマのようなストレスがあるのだ! 考えすぎないようにしなくっちゃ。

木曜日

今日は朝から中山秀征くんの『ウチくる!?』(フジテレビ系)の都内ロケ。
番組収録中に治療の時間が来てしまったので、中抜けさせていただいて「行ってきまーす」と病院へ。でも放射線は5分くらい、身支度を整えたりしても全部で約10分。アッという間に終了。初めて付き添ってくれたマネージャーがスタバで待っていてくれたけど、コーヒー1杯飲む間もないくらい。
現場に戻るとスタッフの方たちも「あれ、もう帰ってきたんですかあ」ってビックリ。でも皆さんすごく良くしてくださって、温かい飲み物を用意してくださったり、感謝!
皆が手術のことを知っているので、仕事のときも「病院へ行ってきて」と言ってくれる。お陰様で気分が楽になりました。やはりきちんと告白して良かった。

金曜日

今のところの変化と言えば、すごーく眠いこと。
仕事中は気が張ってるけど、休憩時間とか、休みで家にいるとすぐ昼寝しちゃうの。今までにないことだからこれは放射線の影響だと思う。それと最近ちょっと痛い。胸がチクチクっと。
患部が少し疼くというか、痛い感じが戻ったというか。体の中に異変が起きている感じがする。縫い物で指に針を刺した時のようなチクン、ズキンって。手術した傷跡がチクッと。“お、来てるねえ”という感じ。
でも「傷跡が痛むこともありますが、これは治療のためですから」と医師に言われているので、気にしないようにしています。今後も生活サイクルの中に治療もバッチリ入れて、食事と同じように「さ、治療に行こうっ」て毎日のペースを作らないと。
どうせやらなきゃならないことなのだから明るく元気に!残りあと25回。

 

「手術後、3週間たって、お医者さまへこれから始まる放射線治療についての説明を受けに行きました。こちらはもう、ある程度山を越えたと思って聞いていました。ところが……。左のほうは、進行性のない非浸潤がんだと言われましたが、右は“浸潤がんです”とはっきり言われました。


これは進行していく可能性があるがんだということなのです。手術が無事に終わってよかったと、うかうかと喜んでいたんですけど、聞いた途端にもうシューンと、なっちゃいました。再発の可能性はかなりあると言われましたが、お医者さまは私のことを『きちんと伝えたほうが覚悟して治療に専念するだろう』ということで詳しく説明してくださったのだと思います」


手術が終わり、もう安心だと思っていたら、治療はまだまだこれからだという。

手術でがんを摘出したが、乳房温存療法のため、術後に放射線治療を受ける必要がある。細胞レベルで万が一に取り残した可能性のあるがんの病巣を放射線治療で根絶するためだ。今回、山田さんが痛感したのは早期発見の大切さ、そして友人、知人たちの中に乳がんを患った人があまりに多いことだった。


こうした自分の経験がこれから乳がんの治療をする人の役に立つなら、と術後の経過や今後の治療について語ってくれることとなった。

「いよいよ放射線治療がスタートするので、専門医から今後の治療方針についてお話しをうかがってきました。“乳がんが3つもあるというのは本当に珍しい”と言われました。普通は関連しているはずだと。関連とは転移を意味していて、正しくは*浸潤(しんじゅん)と言うそうです」(*浸潤=炎症や腫瘍の発育の場が、隣接する組織に侵入すること。がんが周囲の組織に入り込んでいくことを“浸潤”といい、反対に“非浸潤”は、がんが周囲の組織に潜りこんでいない状態のこと)


山田さんは右に2つ、左に1つの乳がんを2度の手術で摘出している。医師から説明を受けた山田さんは「浸潤」という言葉にドキッとしたという。

今後の治療は、まず放射線でがん細胞を叩いて、それが終わったらホルモン剤の投与になる。経過観察は8年くらいを要すると言う。つまり、完治したかどうかは、8年たってみないとわからないのだ。


そして医者は“3つの乳がんに放射線治療をする例はとても珍しいんです”と付け加えた。

「放射線をひとつのガンにあてるのはよくあるそうですが、私のように3つのがんに一度に当てていくのは珍しくて、あまりデータがないそうです。先生もいろいろと考えてくださって“こんなプランができました”と、見せてくれました。


それはまるで、スパイ映画に出てくる、ホワイトハウスのセキュリティ用の赤外線センサーみたいとでも言えばいいですかね。設計図のように張り巡らされていて、すごく入り組んだものでした。放射線をなるべく臓器にあてないようにするため、いろいろな角度から照射していくそうです。あちこちと色々な角度から1分くらいずつ放射線を当てながら、移動させていくので、20分くらいかかるみたいです」


そう語る山田さんの手首のあたりには油性ペンで描いた×印のような跡が。

「放射線を照射する位置を確認するために、放射線が通る皮膚の表面に印をつけるんです。その印が消えるとまた一からやり直しになるので、今日は試しに描いてもらいました。お風呂に入ったりしてすぐ消えると困るので、印がどれくらいもつのか確かめるんだそうです」


放射線治療は人によっては吐き気などの副作用があるという。そうした心配についても医師は説明してくれた。

「私はたぶん、元気だから大丈夫だと思いますが、中には吐き気がする人がいたり、ごくごくまれには鎖骨が折れてしまう人もいるそうです。これはもちろん、まれなことだそうですが。


ただ、ふたりにひとりくらいは、だるくなるそうですね。とくに放射線治療をうけた日はだるくて、食事の支度もできなくなるような主婦の方もいるそうで、家族にだらしないと思われがちだとか。これは可哀想ですよね。家族の理解が必要だというお医者さまの言葉を、同席した夫も神妙な表情で聞いていました。ただ私は仕事柄、多少具合が悪くても働くことには慣れているから、たぶん、大丈夫(笑)」


今後は病院に毎日通い、土日以外は放射線治療を受ける。30回連続して受けることができれば、放射線治療は終わり、ホルモン剤の投与に移るという。

「放射線が当たったところだけ、かゆくなったり、ただれたり、赤く腫れたりすることもあるそうです。これは実際にやってみないとわからないので、もしそうなったら、何か対処法を考えてくれるそうです。


でも、かゆいなんて言っていられません。まず、がんをすべてなくすことだけを考えなくちゃいけませんよね。がんの種類によっては放射線だけで治療を完治させるという人もいるくらい。そのくらい放射線はすごい威力があるのだと思います。


でも、こうも言われました。“放射線治療をすることで、肺がんになる確率もあります”って。暴飲暴食や不規則な生活、過度なアルコール摂取や喫煙などをしていた人の確率はけっこう高いそうです。私は暴飲暴食をしていたから、これからは自分の体のために改めないと……」


自称“大酒飲み”の山田さんだが、現在はお酒を控えている。以前はときどき吸っていたたばこもキッパリ止めた。そして食事もなるべく粗食を心がけるようにしている。

「お酒を飲まなくなってからは、毎朝の目覚めが本当にさわやかなんですよ。朝のコーヒーがこんなに美味しいものだなんて初めて知りました。放射線治療が終わるまで、お酒はおあずけです。秋になったら、きっと乾杯もできると思うんだけどな」


胸の傷は良好。傷跡もほとんど目立たなくなり、胸の形も変わらない。もちろんブラのカップも以前のまま。

「そうですね、あと治療の前に私がすることは、体をがっちり洗って、脇毛を抜いておくことかな(笑)。放射線治療が始まったらいっさい、抜いたり、剃ったりすることができないんですって、皮膚がヒリヒリしちゃうから」


いよいよ放射線治療が始まる。医師の説明をきちんと受け止めた山田さんのいまの心境は。

「何と言っても病気のことは医者がいちばん詳しいのですから、あとは自分のドクターを信頼してすべてお任せします。いろいろ説明をしていただいて本当によかったと思います。治療に専念する覚悟もできたので。そして改めて女性の皆さんにお伝えしたいのは、乳ガン検診を受けたほうがよいということです」


乳がん検診の大切さを皆に伝えたい。そんな思いから、手術後の治療の経緯を伝えてくれる連載日記がスタート。


 

いつも元気いっぱいの山田邦子さんが、乳がんの手術をしていたことが報道され話題になった。女性のがんのなかで最も多いといわれる乳がんだが、「まさか、自分がかかるなんて」と思う女性は多いはず。彼女もその一人だった。


山田さんは2007年3月に『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』(テレビ朝日系・火曜・20時~)に出演(放映は4月3日)。そのときのテーマが「女性が気をつける病」で、乳がんを早期発見するために家庭でできる「視診」や「触診」の方法を教わるという内容だった。番組中に胸を触った山田さんは、かすかなしこりに気づいたという。収録が終わり帰宅して再度、触診をやってみると、やはりしこりがあることを、ハッキリと確信した。


この日の番組は、肉まんと梅干しを使って実際に触診の方法を教えてもらうというものだった。しこりの手触りをたとえてみると"肉まんの中に梅干しの種"がある感じだという。

「あったんです、私の右の胸に梅干しの種がひとつ......。"うわあ、しまったぁ"と思いましたね。何かの間違いじゃないかと何度も何度も触診をしてみましたが、やはりある。朝まで一睡もできず、まるで体中の毛穴から精気が抜け出ていくような感じでした」


さっそく、翌日に予約を入れて、婦人科でマンモグラフィー(乳房エックス線検査)を受けた結果、左の乳房に1つ、右の乳房に2つの腫瘍が見つかった。どれも小指の先ほどの大きさだと診断された。


「そのときは祖母のことが頭をよぎりました。私の祖母も乳がんの手術をしているんです。 

子どものころ、祖母の胸を見たことがありますが、刀で切られたようにスパッと片方の胸がなかった。昔の手術ですから、乳房温存療法ではなく、悪い部分をすべて切り取るという方法でした。でもそのおかげで祖母はその後ずっと元気で長生きをしましたが、私も祖母のような胸になるのかと、最初はとても不安な気持ちでしたね」


幸いなことに医師からは「早期発見」であることを告げられた。"まれに見る小さながん"なので、転移がなければ乳房も温存できると言う。手術は4月下旬に受けることになった。

「先生に"自信ありますか?"と聞いたら、"はい"と答えてくれました。それにいろいろな質問にも丁寧に誠意を持って対応してくれる。手術の直前まで相談にのってくれたこの先生なら、信頼できると思いましたね。もうこうなったら先生にすべてをまかせようと覚悟を決めました。あれこれ考えても仕方がないですから。信頼できるお医者様と出会えたのもラッキーだったと思っています」


手術は乳輪に沿って乳房を切開し、がんを取り除く方法。片方で2時間ずつ。両方の胸の手術は約4時間で終わった。早期発見ということもあり、乳房を切除するのではなく、幸いなことに温存療法を受けることができた。手術は成功してホッとしたが......。


「退院して検診に行ったときに、先生が言うんです。いい知らせと悪い知らせがあります。左は全く大丈夫です。右なんですけど、ちょっと取り残したような気がするので......。全部取ってしまったほうがスッキリすると思うんですよね、なんて。 もう、なんでまたって感じですよ。すっかり安心と思っていたので、さすがに2度目となると落ち込みましたね」 


1回目とまったく同じ手術を、5月初めに受けた。

「今度は片パイなので、2時間くらいで終わりました(笑)」

もちろんこちらも成功。温存療法なので両方の乳房は手術後もほとんど変わらない。


「傷はありますが、胸の大きさは変わりません。ただ切開した後に周りの皮膚を縫い集めてあるので、少し胸が固くなったような感じはしますけど」

がんの大きさは小指大でも、周囲も取るので結局はピンポン球くらいの大きさのものを取り除くことになる。なかには陥没する場合もあるそうだが、

「私はおっぱいが大きかったことと、脂肪が多かったのできれいになりました。今は胸にまだ傷があるけど、そのうちにそれも消えてなくなるみたい」


2度にわたる摘出手術が成功し、仕事に復帰した彼女は、前出の番組(7月10日放映)の収録に参加。冒頭で、発見から治療までを発表した。

「早期発見ができたおかげで、がんが極小でした。手術の経過は良好です。もしあのとき自分で触診をしなかったら病院に検診を受けに行かなかったはず。それを思うとゾッとします。早期発見は本当に大切だと身をもって知りました」

今回の経験で驚いたのは、自分の周りに乳がんを経験した人がとても多いことだと言う。


「私が乳がんだったことが、ニュースなどで流れると、友人や知人、いろいろな人からお電話をいただいたんですが、"実は私もそうだったの"という人もとても多かった。やはり今女性に増えているんですね。ですから、友人やすべての女性の皆さんに"乳がん検診を受けたほうが良いよ!"と勧めたい」


 

2009年10月

        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

※ いただいたコメントは、当ブログで紹介させていただく場合がございます。ハンドルネームを明記の上、メールをご送信ください。