女性自身

『マルグリット』大阪公演だより

マルグリット赤坂ACTシアターでの公演も無事終えて、今は大阪梅田芸術劇での公演の最中。この“梅芸”は、最初『劇場飛天』の名称で商業演劇の殿堂として15年前の1993年1月に杮(こけら)落し公演に出演して以降、劇場名は『梅田コマ劇場』に改名の後今回は“梅芸”になってから初の出演。

4年振りにステージから客席を見て、こんな大きな素晴らしい劇場だったんだナと改めて思った次第。晃晃と輝く天井のシャンデリアを囲み散りばめられたライトからの光線は、まるでスピルバーグの映画『未知との遭遇』の宇宙船のようだ。

これ迄私はこの劇場では『里見浩太朗』『北大路欣也』『西郷輝彦』『北島三郎』『小林幸子』『松平健』『山本譲二』『朝丘雪路』と、それぞれ時代劇、歌謡界で常に第一線で活躍し続けておられる皆さんの舞台に参加してきました。それ故か皆さんは私を時代劇の俳優とイメージしてこられた様ですネ。

そんな私が今こうしてオーケストラをバックにして、ソロ、コーラスを合わせて8曲も歌っているんだから「ホホウ!?」と思う人も多いだろうナ。これが又私にとっては心地良い体験なんですョ。皆さんのイメージを裏切って「へぇ~ッ!」と思わせるのも楽しいものですョ。


さて、大阪公演も間もなく終わり再び東京に戻って日生劇場で最後の公演にむかうわけですが、ここで思わぬアクシデントが発生。出演者の一人が“インフルエンザ”にかかった事がわかり一斉予防ということになった次第。
昼夜の公演の合間にタクシーを六、七台チャーター、スタッフ、キャストそれぞれ分乗、病院に駆け込み予防接種と薬の分配。
そして楽屋中のスタッフ、キャスト全員が白マスク姿になったわけ。
まるで感染病棟の中で芝居がはじまる様な雰囲気に、最初にインフルエンザにかかった出演者は恐縮しきり、本当に気の毒な事でした。

でもこの俳優、愉快な人でマスクをつけてる事にすっかり馴れてしまい、つけていることをうっかり忘れて危うくそのまま舞台に出て行こうとしたのですから笑っちゃいます。
もし誰にも気付かれずにそのまま出てたら、まあ客席は「あれ~ッ?ザワザワヒソヒソ」と、どうなった事か……。

結局、二、三日後には平常に戻り、今では笑い話で済んでホッとしたところ。それにしてもやはりミュージカルは大変なんだネ。出演者の一人も風邪はひけないんだ。喉を痛めて声が出なくなったら歌えなくなり音楽は成立しなくなるからなんだネ。これ程細かくケアしないものね、普通の芝居なら。


さて春野寿美礼さんといえば宝塚のトップスターだったひと。宝塚はこの大阪と目と鼻の先。大阪公演ともなれば退団後初の公演、凱旋公演といっても良いのかな。東京赤坂での公演時もそうだったが、やはり楽屋口で彼女の出待ち(終演後楽屋から出てくる彼女を見送る為待っているファンの事です)の女性の多いこと!!
それもアイドルの追っかけみたいに「キャアキャア」嬌声を張り上げるんじゃなく、ひたすら寒風の中騒がずおとなしく、整然と待っている様子は感動的ですらあるネ。
唯私たちが楽屋口から出て来ても見向きもされないのはいささか寂しいかな?

そんな大勢のファンの支えられている彼女は、全く驕らず楽屋内でひたすら気配り豊か。エレベーターの乗り降りも、どうぞお先にと幾らすすめても「そんなことおっしゃらずに」と私に譲ってくれる。常に共演者、年長者を気配る様子は素敵ですネ。

宝塚は軍隊みたいなところで、厳しい先輩だったらまるで後輩を兵隊の様にあつかうと聞いたことがあるけど本当かな?やはり人によって違うのかな。
まあ恐い先輩の話はよく宝塚出身の女優さんに聞かされていたからネ、本当かもネ。

出待ちの人だかりを見て驚いていたら、いや春野寿美礼の現役時代はこんなもんじゃなかったそうだ。退団直前のお別れ公演の時は、宝塚大劇場の楽屋口周辺は、史上最高の数のファンで埋めつくされたそう。

今回の舞台では、ラスト前に生活に疲れ切って全てに挫折したマルグリットが、私演じるジョルジュを頼ってくるのを冷たく追い返すんだけど、彼女のファンには恨まれてるかもネ。
でもこれはあくまでドラマの展開上のことで、実際にはとても優しく仲良く彼女と接してるってことをわかって欲しいです!!

では、未だ『マルグリット』を観てくれてない皆さん、3月12日からの日比谷日生劇場での公演でお会いしましょう。


横内 正

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プロフィール

横内正

■横内 正(よこうちただし)
■1941年7月1日生まれ、福岡県出身。俳優座養成所・第13期生。人気時代劇『水戸黄門』(TBS)の格さん役、『暴れん坊将軍』(テレビ朝日)の大岡忠相役ではお馴染み。近年は、NHKの大河ドラマ『風林火山』をはじめ、舞台、ラジオ、バラエティー、旅番組などに精力的に出演。また、その渋く低音の魅力で声優業や多くのナレーションも手がけている。趣味は500玉貯金、特技は餃子を速く作ること。

■TYプロモーションホームページ http://www.ty-pro.com/

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