本誌:最後に、作品の魅力についてもう一度うかがえますか?
三波:先ほどとだぶりますけれども、やはり浅田先生のヒット作品でありますしね、本当に緻密な計算がされています。だから本当に、日ごろの憂さを忘れて笑っていただいて、泣いていただいて、親子、夫婦、いろんなものの情愛って言いますかね、ちょっと考えていただくのには良い機会の2時間半だと思いますんで。ぜひお待ちしております。

藤吉:「久しぶりに泣きました」というご年配の男性の方がいらしたんですけど、そうだと思います。わぁ~と感動して泣いて笑って、すっきりして帰っていただけるんじゃないかなぁって。その方は「もう一回見たいから、千秋楽に来ます」って言ってくださったんですけど、なんかそんなふうに言っていただくのもすごくうれしいです。作品としていまそういうものが少なくなっているじゃないですか。きっと家族で楽しんでいただけるように仕上がっていると思いますので、ぜひ見てください。
三波:あと浅田先生ご自身もおっしゃっていましたけど、死に対するものにバンと直面しているんですよ。浅田先生のところには「死ぬのが怖くなくなりました」という感想がよく届くらしいですね。
横内:それって、すごく良いメッセージだよね。
三波:そういう意味ではね、世の中の人はちゃんとアナタのことを見ていますよ。それで極楽に行くということをちゃんと考えて人生送ってください、と。
横内:僕はいつも思うんだけど、こういう良いお芝居でもね、情報として知らない人たちは結局見られないでしょう。見たら絶対良いと評価してくれるのはわかっているんだけど、見てくれないことにはね。あらゆる媒体を通してこういう良いお芝居があるということを知ってもらって、ぜひ観ていただきたいですよね。手抜きしないで本当に一生懸命やっているもんね!
三波:すっごいですよ、ホント滝に打たれたりね、してない?
本誌:幅広い層の方が楽しめるお芝居ですよね。作品を見ながら、悔いのない人生を送らなきゃって思いました。
横内:悔いのなく生きていきましょうね。
三波:そうですよ、変なことをしていたらあのとんでもない人が見ているんですから!
藤吉:審査されているのよね。あんなことが、見られていたの?みたいな。でも、これほど愛するっていうことを掘り下げて、愛するっていうことのメッセージを伝えている芝居はないんじゃないかなと思うくらい、ホント素敵な作品です。そして、作品をご覧になった方からも、「いろんなことを考えさせられました」といった内容のメールやお便りをいただくことが多くて。
横内:人を愛する、人に感謝する。そして「ありがとう」と言う、みたいなこと。そしてみなさん良い人ばっかり登場するんですよね。それがやっぱり心が洗われる。
三波:僕たち毎日、世の中の人に教えているわけ?
横内:啓蒙しているんだよ。

本誌:客観的に見て、どの登場人物がいちばんお好きですか?
三波:僕はお父さんですね。
藤吉:お父さん、良いですよね~。お父さん、素敵。
横内:僕はもう少し若かったら三波さんの役をやりたかった。
三波:アハハ(笑)。
横内:だってモテるんだもの!
藤吉:本当ですよね。あんなに無償の愛を捧げてもらって。
三波:イヤイヤ、人徳ですかねえ(笑)。
横内:役得だよ。
三波:役得ですかね。
本誌:湖映佳奈子さんが演じる佐伯知子という女性、ほかの女性と結婚して8年も経つのに、死んでまだ椿山さんのことを愛している。最初はちょっと変な女性なのかと思いました(笑)。
藤吉:でも、佐伯知子さんという人は、きっとあの後も結婚せず、ずっと椿山さんを愛し続けていくと思いますよ。
横内:そうだよね。
三波:でもね、今日公演が始まって3日目ですけれども、あの佐伯知子って人の感じを見て、「こういうひた向きな愛があるんだな~っていうのを思った」って女友だちがの何人か言っていたのを聞きましたよね。
横内:俺なんか、あんな女性を見ていたら恐いけどね。
藤吉:アハハ(笑)。
本誌:椿山さんとべつに結婚することが決まっているわけでもないのに、お父さんの面倒を見ていたという設定ですよね。
藤吉:お父さんが好きだったのかもしれない。

横内:オイオイオイ(笑)。
藤吉:私はね、実は結婚する前、太川さんのお母さんのお世話をしていたんですよ。間に彼が入らず、まるで母と娘のような感じ経験させていただいたので、彼女、佐伯さんの気持ちはよく分かるんです。「この家族の中に入りたかった」「あなただけの奥さんではなく、このお母さんの娘になりたかった」みたいなものってあるんですよ。
本誌:藤吉さんの中に、彼女と重なる部分もあったんですね。
三波:でもね、今回2時間半の中には納まんないけど、生前のツバキさんてどんな人だったのか知りたかったな。キャバクラに勤めているのかなんかわかんないですけど......。
藤吉:結婚詐欺をかけられていたり?
三波:高級クラブかなんかの売れっ子で、みたいな、そんなのも見たかったなぁって思いました。
横内:なんでツバキさんに乗り移ったんだろうね。ほかにもいろんなキャラクターがあったはずなのに。ラストシーンであの真っ赤なドレスを着て現れたときは、俺、度肝を抜かれたもの。あ~こういう人だったんだ!(笑)
三波:ねえ~ナイスプロポーションで。そのへんのオジサン、みんなヨダレを垂らして見ていましたよ。そんなことないかい!
横内:話がだんだんそっちのほうに(笑)。
本誌:いえいえ、今日の対談で出演者のみなさんの仲の良さを存分に感じさせていただきまして、ありがとうございます。
藤吉:ホント、とってもアットホームで、舞台ってそれが出ちゃうと思うんですよね。そういう意味では毎日が本当に楽しくって。本当に家族と一緒に作り上げているような感じですね。
本誌:太川さんは作品をご覧になるご予定は?
藤吉:今、名古屋で『細雪』に出ているんですけど、彼の休演日にはぜったい見に行くからねって言ってくださったのに、その日がちょうどうちの休演日なんですよ(笑)。二人たまたま舞台が重なって......。
三波:もしも太川さんが観にきたら、その日は「ヨウスケ!ヨウスケ!」ってすごいんじゃないですか? 「このやろう、ヨウスケ!」とか言っちゃって(笑)。
藤吉:これこれ(笑)。でもそうやって、ちゃんとエールを送ってくれている感じがあるのでよかったなあって思っています。初日にはメールが入ってきて、「板の上で演じる幸せを感じながらやってください」とか言って。
横内&三波:カッコ良いな~!!
藤吉:アハハ。
本誌:藤吉さんにとっては、今回15年ぶりの舞台ということで、いかがでしたか?
藤吉:楽しいですね。ホント20代のとき、年に7ヶ月くらい舞台やっていたときもあって、大好きだったんですよ。それが結婚と同時にピタッと止めちゃったんで、今回15年ぶりに出ることが決まったときには不安もあったんですけれども、ステージに立ってみたら、「ああ、この感じ!」と思って。お芝居が好きだし、舞台が好きだったんだ!っていうことを再認識してしまったみたいな感じです。
三波:最初の顔合わせからすごく和気あいあいと、良い意味でね、馴れ合いじゃなくて。淡路先生も横内さんも、本当にベテランの方と合わせていただいて。
横内:うふふ(笑)。
三波:出番を待っているときとか、ふとした世間話のときでも、「芸とはこういうもんだ」と教えてもらって。
横内:オイオイ(笑)。
藤吉:淡路さんのところに朝、「今日もよろしくお願いします!」とご挨拶に行くんですけれども、「アナタには本当に頑張ってね、って言ってあげることしかできないけどね」って。本当にみなさんに支えていただいて感謝しています。
三波:それはありがたいよね。

本誌:タイトルが『ありがとうと言いたくて』ですが、いま、ありがとうとおっしゃりたい方はいますか?
藤吉:私はみなさんに「ありがとう!」という気持ちを伝えたいですね。
三波:まったくそのとおりですね、本当に良い題名ですし、毎日それしかないですね。
本誌:三波さんはどなたに「ありがとう!」と?
三波:それはもう、今共演している方、スタッフのみなさん、そしてもちろん観に来て下さる方、みなさんに感謝、感謝、とそれしかないですよね。僕、自分のブログにも書いているんですけど、いつもこう舞台をやらせていただいていて思うんですけど、本当に僕らってこんなに他人の方に育ててもらっているんだな、っていうのをすごく意識しますね。ふだん映像をやっているときにはそうでもないんですよ。こうやって舞台をやって観に来ていただくとか、メールをいただくとか、お花をいただくとかあると、こんなに他の人と関わっているんだな、っていうのをね、すごくこう感じる、確認するときですね。
藤吉:舞台は生ですからね。
横内:今日はお二方のお話でいろいろ教わることもあって、お話の進行といい、笑いの展開といい、お二方は本当ベテランで。僕のような年になっても、学ぶことはまだまだたくさんありますね。本当、今日はありがとうございました!楽しかったです!!
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