横内:「三田さんと僕が、最初にご一緒したのは、僕がまだ本当に若い頃、俳優座にいた時代でした。テレビもモノクロ、松本清張の『逃亡』というドラマで、三田さんと加藤剛さんが恋人同士という設定だったんですよ。僕は三田さんのお兄ちゃんをやったんだった」
三田:「そうね、四十年くらい前、お互い可愛かった(笑)。私は二役だったんじゃないかしら?」
横内:「そうです」
三田:「その後、『マラッカの海』でしたよね?」※『マラッカの海に消えた 謎の蛇寺と海底黄金』
横内:「山村美紗さんの作品だった」
三田:「海外ロケでね、恋人同士」
横内:「あれは、まさか三田さんと恋人同士をやるとは思わなかったんだ(笑)。それから、舞台とかで何度かご一緒してね......。それにしても、三田さんはお若い! あり得ない若さだよ」
三田:「気持ちが若いのよ。でも、頑張ってないの、自然なんです」
横内:「それをいつもおっしゃるよね」
三田:「それと、私自身、ブレない」
横内:「そう、それがいちばん強いのかもしれない」
三田:「いま、こうして生きていることも『生きてる!』くらいの受け止め方だから、病気にしてもそう、自分自身、あまりそのことに囚われないんですよ」
横内:「そんな三田さんを支えているものって何なのだろう?」
三田:「やはりそれは、周囲の人であり、三田佳子を支えてくれる一般のファンの人ですよね。私たちの仕事って、お客様が観に来てくださり、納得してくださらなかったら、ただのアマチュア、好きでやっているだけの人ですよね。だけど、プロは、お客様がお金を払って観に来てくださった上に、その方たちに感動や生きる力というものを、何か与える力もないといけない。だけどそれは、逆に、そういうお客様がずっと私を見続けてくださり、そして、私が苦しいときには、『私たちは、病気でも子育てでも、

もっと大変な経験をしている』、『傷つき疲れ果て、それでも乗り越えて、生きている』と教えてくださったんですよね。で、そういうふうな励ましをいただくこと、『ああ、こんなに皆さん、生活をしながら、大変なことを乗り越えて生活されているんだな』というのを気づかせてもらえた。『三田さん、頑張れ』と言葉を贈られて、またその人たちは、私が何か仕事すれば、応援に来て支えてくれる。そういう循環がね、あるからやっていられるんですよ。どんなに自分が結構丈夫だとかね、演劇が好きだとか、演ずることが命とかっていっても、受け入れる人がいてくださり、何か共に生きることの喜びとか、いろんなものを感じてくださらないと成り立たないんです。それが、紆余曲折を経てつくづくよくわかる。そして、だからこそ、『私は頑張る!』、『やっていかなくちゃいけないんだ!』と思えるんです。自分の弱い気持ちとか、自分本意の気持ちで「もう疲れたからやめちゃおう」とか、そういうことがもう許されないところに自分はいるんだなっていう実感が、年を経るごとに増えてきました。
例えば、森光子さん、もう九十歳近くになられましたよね。この間も森さんの舞台を観にいったんですけど、あの年齢であそこまで頑張っているのは、やっぱり抱きしめたくなっちゃうよね。思わず、『すごい』って涙しちゃったわよ。『森さん! 握手しよう』って。そうしたら、森さんが私に『あなた、続けてね』っておっしゃった。私も初演のころからずっと観てきましたけど、ここまでやってきて、最後まで続けるっていうこと、支えがそこにあるんでしょうね」
横内:「森光子さんの後は、たぶん三田さんが継承していくんでしょう。先日も、森さんが明治座でおやりになった舞台あったでしょう」
三田:「観ました」
横内:「カーテンコールのときの森さんの言葉の中には、やっぱり女優の輝きというか、『皆さんにこうやって観ていただくときが、一番私は幸せだ』というような女優ならではのコメントがありましたよね。よくわかりますよ」
三田:「本当にね」
対談は明日に続きます!!
ヨコ様がアーネスト・ヘミングウェイ役で出演する舞台
『ディートリッヒ~生きた 愛した 永遠に』
東京公演は3月12日(金)~3月28日(日)まで、青山劇場にて、
大阪公演は4月3日(土)と4日(日)、梅田芸術劇場メインホールにての上演されます。
詳しくは公式HP:http://www.dietrich.jp/
